【65歳の壁問題②】高齢者も障害者もごちゃまぜの「共生型サービス」は救世主になるのか?

日本の社会保障制度は「保険優先」。障害福祉サービスを利用していた人が、65歳以上になった場合、おなじ種類のサービスが介護保険にある場合は、介護保険サービスに移行することになります。たとえば、重度心身障害者で自宅やグループホームから日中、「生活介護」に通っていた人は、介護保険の「通所介護」に変えないといけないということです。

 長年、慣れ親しんできたサービス事業者を変えるということは、仲間やなじみの職員さんとお別れしなければならないという「大事件」です。そこで、そのまま今の事業所を使い続けられるようにと考えられたのが2018年の法律改正で創設された「共生型サービス」です。

 高齢者だとか、障害者だとか区別しないで「ごちゃまぜでいじゃん」、「共生しようよ」というとことからきていて、その意味で革新的なサービスと言えます。

 「共生型」があるのは、訪問系、通所系、短期入所系。介護保険の「小規模多機能型居宅介護」の「通い」や「短期入所」も、保険者が認めれば障害者が利用できるようになっています。

ホームヘルプ、デイ、ショートなら共生型
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3年たっても全国でたった607カ所、「売れない」のにはワケがある

 ところが、障害福祉サービスの事業所で「共生型」を行っている事業所は、令和2年10月現在で全国で607カ所。まったく増えていません。65歳を超える利用者がでたところから、おそるおそる始めているというところでしょうか。これからどんどん増えていくかは疑問です。

 「共生型」は、障害福祉事業所に特例的に介護報酬を支払うとい仕組みです。介護保険の基準を全部満たす必要はないけれど、その分、報酬は安く抑えられる。つまり、これまで通りの収入が補償されるわけではないからです。制度の都合であって、事業所や利用者からみたらまったくおかしな話です。ということで、救世主になるかどうかは、今後制度が改善されるかどうかにかかっている、といえるでしょう。

          資料は、第116回社会保障審議会障害者部会(2021.8.30)から抜粋したものです。

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